中国、需要急増に再生エネルギーで挑む

中国、需要急増に再生エネルギーで挑む

世界的に拡大する一方のエネルギー需要。中国は次期エネルギー五ヵ年計画(2011〜15年)で、再生可能なエネルギーなど非化石燃料の合理的開発や、省エネの強化、エネルギーのクリーン化などを謳った。資源を多消費する従来の経済成長から転換するのが狙いだ。

 

中国環境問題

 

そのための投資も惜しまない。中国政府は11-20年の10年間、環境負荷の小さい新エネルギー産業の振興に対して、約5兆元(約70兆円)を投じるという。持続可能な経済成長を可能にするため、原子力発電に加え、太陽光や風力、バイオマス発電などの再生可能エネルギー、さらにスマートグリッド(次世代送電網)の発展にも取り組む。こうした技術で先行している日本企業にとっては、今後大きなビジネスチャンスにつながる可能性がある。

 

国際的な金融危機以降、中国には従来の輸出依存型の経済成長パターンから脱し、内需型の経済成長が世界から期待されている。再生可能エネルギーを重要政策の一環として、内陸部や農村地域の産業を振興・発展させるためにも、内需に関連する研究開発や設備投資を強化中だ。

 

エネルギーや資源を多消費CO2排出は世界一に

 

同時に中国政府は、20年までに二酸化炭素(C02)排出量を05年比で40〜45%削減する、という行動目標を掲げた。

 

というのも再生可能エネルギーの開発は、エネルギー全体の安定的供給に貢献するだけでなく、温暖化ガスの削減をはじめ、環境汚染の深刻化軽減にも大きな役割を果たすからだ。資源を多消費する重化学産業に依存した高度成長下では、エネルギーの供給不足とともに、環境汚染の深刻化ももたらしている。今や環境問題は地球規模の共通課題であり、中国自身の経済成長にも大きな障害なのである。

 

すでにC02の排出量では、中国は07年に米国を抜き、世界第1位となった。周知のように、C02排出はほとんどが化石燃料によるものであり、中国における石炭や石油の消費量は、1980年から08年までに約5倍も増加。これに伴ってC02の排出量も4倍近く拡大した。

 

根本的にC02の排出を減らすべく、五ヵ年計画では、GDP当たりのエネルギー・消費量を20%削減、エネルギー効率を向上させる。それには産業構造の高度化が必須で、重厚長大産業から、付加価値の高いサービスなど第3次産業に転換し、経済の軽薄短小化に取り組む。一方、すぐには先進諸国のようなソフトーサービス化の産業構造に実現できない、中国経済の現実もある。当面は環境負荷の大きい石炭への過度な依存を改めていく方針だ。

 

具体的には石油や天然ガスなど燃料のベストーミックスを図り、さらに再生可能エネルギーの開発を強化し、エネルギー・需給の改善を目指すことが急務だろう。政府は20年までの導入目標として、一次エネルギー消費量に占める再生可能エネルギーの割合を、現在の8%から15%まで引き上げることを掲げた(表参照)。まず15年をメドに、風力や太陽光、バイオマス発電の利用を拡大することで、非化石燃料の比率を一1111一%以上に引き上げる。

 

ただ反面、中国による再生可能エネルギーの開発やC02の排出削減は、さまざまな課題にも直面している。新技術の向上や市場の育成は他国からの力も必要不可欠だからだ。

 

日本は対中投資の転換点技術優位を活用すべし

 

こうした中、日本企業には保有している技術を活用し、再生可能エネルギー・など、環境分野に対する投資拡大や事業展開が望まれる。もっとも、これまでの日本企業の対中直接投資を見ると、エネルギー関連にはあまI向けられていない。

 

09年末までの実行ペースで、日本企業の対中直接投資の累計額は698億ドル。世界における対中投資では4・3%と第2位になった。主要業種の構成を見ると、輸送機械14%、食料13%、電機9%などとなっている。中国市場の好調さに目をつけた自動車や食品メーカーが投資を活発化させているのがわかる。その反面、統計分類からは把握しにくいが、現地調査によれば、エネルギー・関連全体に対する投資は全体のI%足らずで、極めて少ない。

 

近年は日本企業による投資案件も増えつつはある。JXホールディングス(旧新日本石油)は、重慶市で石油産業向けに省エネ設備である炭化水素ガスの回収装置を製造。出光興産は山東省でクリーンコール事業を、また日揮は浙江省でフロンガスの回収・分解プロジェクトに参画している。それでも、欧米企業のエネルギー・環境分野の事業展開に比べれば、まだ劣っているのが実情だ。

 

日本企業のエネルギーや環境分野の技術は、実は国際的にもトップレベルにある。今後中国という巨大市場を狙うなら、現地のニーズに応じ、政府の支援など官民連携を通じて、持っている優位性を活用すべきだ。省エネや新エネ、ハイブリッド車、原発や水処理などのインフラなど、投資を集中すべき分野は多い。

 

円高の下、日本企業はむしろそのメリットを生かし、エネルギー関連の対中投資を拡大するだけでなく、中国の現地企業や権益の買収なども積極的に検討すべきだ。中国が環境分野の取り組みを強化するのに合わせ、現地に適応し、競争優位を手にするためにも、再生可能エネルギーの分野に重きを置くことが極めて重要だ。それが必ず対中ビジネスの新たな転換点につながる。

 

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